【殺戮にいたる病】息子のサイドストーリーが読みたい!

『息子のサイドストーリーが読みたい!』

読み終わってまず浮かんだ感想、これです(笑)

おそらく、いやきっと、この物語の最大のポイントは早いページから分かってしまいました。

つい最近、【いつかの人質】を読んだからだと思います。

注意深く言葉を読んでいれば気づいちゃうと思います。

ただ、そのポイントは分かりつつ読み進めたいと思えるほど面白い。

面白いていうのは内容が内容だけに不謹慎な気がしてしまうけど、やはり物語としてはとても面白い。
途中ではやめられないです。

同情するのは被害者達よりもむしろ雅子。
雅子の心情や、家族にとっての雅子の立ち位置って妙にリアルだから、切ない。

母親って、妻って結局そういう感じだよねってリアルな現実をつきつけられるというか。
結局掃除して、食事作って、子供を育ててはいそれだけが役割だよね、みたいな。

そんなリアルな痛さを感じる部分と、稔の気持ち悪さ溢れる異常な部分とのアンバランスさが読み進めていく魅力的な部分だと思う。

そして、そこに加わる樋口のスパイスなストーリーね。

最近読む本で感じることだけど、本当に全部ダメダメな男ってなかなか出てこないなぁってこと。

樋口もなかなかの年だけどモテ男だし、稔もなかなかの見た目好男子だし、ついこの間読んだ【テロリストのパラソル】の菊地もモテ男だし、、、

ほんとに雅子がかわいそうになるわ。
女が年をとる、男は年を重ねる、って違いがリアルに小説にまであらわれているようで、世の中の厳しさを感じるわ。

あと、息子ね、気になっちゃうのは。
サイドストーリー読みたいわ。

この物語は今流行りの映像化は無理でしょうね、たくさんの色々な意味で。
でもそこがいい。
むしろ映像化、絶対にしないでね、と。

今、AmazonKindle で読めますよ。